深夜0時過ぎのオフィス、月末の支払いに頭を抱え、不安で眠れない夜… これは、僕が事業を立ち上げて2年ほど経ち、まさに社会人として必死にもがいていた頃の記憶です。大学卒業前に勢いで始めた事業でしたが、現実はまったく甘くありませんでした。周りの友人たちがそれぞれの道で社会人として活躍し始める中、僕は焦りとプレッシャーで押しつぶされそうになっていました。
治療院を経営されているあなたも、もしかしたら、集客や資金繰りのことで、先の見えない不安や眠れないほどのプレッシャーを感じたことがあるのではないでしょうか？
なぜ、僕はそんな状態に陥ってしまったのか？
思い返せば、大学卒業前に「社長になる！」という夢だけで事業を始めた僕には、しっかりとした計画なんてありませんでした。社会経験もビジネススキルもコネもお金も何もない。あったのは、有り余る「やる気」と「根性」だけ。
「誰よりも働けば、いつかきっと成功できるはずだ」
そう信じて、見様見真似で始めたのがテレアポの代行事業でした。治療院の先生なら、迷惑な営業電話にうんざりした経験があるかもしれませんが、あれは電話をかける側も相当しんどい仕事です。見ず知らずの相手に煙たがられ、時には罵声を浴びせられながら、ひたすら電話をかけ続ける。その「しんどい仕事」を代行することに商機を見出した（つもりだった）のです。
朝7時から終電間際の深夜24時まで。土日も関係なくオフィスに籠もり、がむしゃらに働きました。これだけ身を粉にしていれば、少しは報われてもよさそうなものですが…現実は非情でした。
お客さんはゼロではなかったものの、事業は全く成長しない。毎月、その月の固定費を払うために必死で新規のお客さんを獲得し、その取引が終わればまたゼロから新規開拓…この繰り返し。体は疲れ切っているはずなのに、ベッドに入っても「支払いどうしよう…」という考えが頭から離れず、眠れない。仕方なくイヤホンで大音量の音楽を流し、無理やり思考をかき消して眠りにつく。そんな不健康な状態が続いていました。
結局、僕の最初の事業は、心身ともに限界を迎え、3年と持たずにたたむことになります。
見失っていた、たった一つの大切なこと
なぜ、あんなに身を削って働いたのに、失敗してしまったのか？
それは、事業において『たった一つ』の、最も大切なこと を完全に見失っていたからです。
当時の僕は、目の前にある「売上」というニンジンだけを、必死に追いかけていました。もちろん、取引してくださるお客さんの仕事は、誠心誠意、一生懸命取り組みました。でも、その姿勢はあくまで 「取引の間だけ」 だったんです。
取引が終わったお客さんや、商談で興味は持ってくれたけれど契約には至らなかった見込み客の方々のことは、正直、完全に放置してしまっていました。「今、売上をもたらしてくれる人」だけに集中し、それ以外の人たちとの関係性を育む、という視点が完全に抜け落ちていたのです。
成功への鍵は『顧客との関係性』だった
事業に失敗し、まさに路頭に迷っていた僕ですが、運良く拾ってもらった製薬会社で働きながらも、社長になる夢は諦めきれませんでした。経営を学ぼうとビジネス書を読み漁る中で、ある人物の言葉に出会います。アメリカの著名なマーケティングコンサルタント、ダン・ケネディの言葉です。
「事業における唯一最大の資産は、顧客との関係性である」
この一文を目にした瞬間、文字通り、息が止まるほどの衝撃を受けました。
「これだ…！ 僕が地獄のような日々を送った根本原因は、まさにこの考え方が欠けていたからじゃないか！」
もし、あの時『顧客との関係性』という視点を持てていたら、僕の事業は全く違うものになっていたはずです。取引が終わったお客さん、つまり「休眠顧客」と呼ばれる方々とも、継続的にコミュニケーションを取り、関係性を維持できていたら…？ きっと、何か困ったときに再び声をかけてもらえたり、周りの人を紹介してもらえたりする可能性が、格段に高まっていたはずです。毎月毎月、ゼロから新規顧客を探し回り、関係性のない相手を必死で説得するような、あの途方もなく労力のかかる仕事を繰り返す必要はなかったはずなんです。
あなたの治療院経営、本当に大切なものは？
この僕自身の痛い失敗から得た教訓は、そのまま 治療院の経営にも当てはまる と確信しています。
日々、患者さんのために一生懸命施術にあたり、院の運営に心を砕かれていることと思います。もちろん、新しい患者さんに来てもらうための新規集客も、経営には欠かせません。でも、それだけに追われて、疲弊してしまっていませんか？ 新規集客のために多くの広告費を払い、貴重な時間を費やし、精神をすり減らしてはいませんか？
ここで一度、立ち止まって考えてみてほしいのです。 あなたの治療院にとって、本当に、そして唯一最大の『資産』とは何でしょうか？ 最新の高価な治療機器ですか？ おしゃれで綺麗な内装でしょうか？ それとも、誰にも負けない特別な治療技術でしょうか？
どれも素晴らしい要素ですが、ダン・ケネディが言うように、唯一無二の、そして最大の資産は、間違いなく『患者さんとの関係性』に他なりません。その「関係性」があるからこそ、患者さんは数ある選択肢の中からあなたの院を選び、信頼し、通い続けてくれるのです。そして結果として、売上が生まれ、経営が成り立つのです。
では、その最も大切な「関係性」という資産を、あなたは今、どのように扱っていますか？ 一度でもあなたの院のドアを叩いてくれた患者さんとの関係性を、来院が途切れた後も、大切に育み、維持し、強化していますか？ それとも、かつての僕のように、「来ていないから」という理由だけで、その貴重な関係性を放置してしまってはいないでしょうか？
僕の失敗の本質は、このかけがえのない「関係性」という資産を無視し、軽んじてしまったことでした。あなたには、僕と同じ過ちを繰り返してほしくないと、心から願っています。
大切な「関係性」を活かし、目先の売上に一喜一憂するのではなく、長期的に安定した治療院経営を築いていくための、具体的で、かつ効果的な第一歩。それは、あなたの院を一度は信頼し、利用してくれた「休眠患者さん」との関係性を、もう一度丁寧に見つめ直し、活用することから始まります。
彼らとの貴重な関係性をどう活かせばいいのか？ 具体的にどんなアプローチが、彼らの心を動かし、再来院へと繋がるのか？
その具体的な方法、知りたくありませんか？
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この記事が、あなたの治療院経営における「本当の資産」について考え、未来への一歩を踏み出すきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。
